非線形CAE勉強会

第27期非線形CAE勉強会・シラバス

 

「カスタマイズドCAE 〜機能追加によるシミュレーションの差別化〜」

第2日目(2015/5/24,10:00〜17:00)

2-1 2日目イントロダクション
〔運営委員〕
2-2 汎用FEMの応用1
(内からのカスタマイズ:ユーザサブルーチン)
〔寺嶋隆史(明治ゴム化成)〕

多くの汎用FEMコードには,ユーザが独自に材料構成式を組み込むことが可能な材料ユーザサブルーチンが用意されている.材料ユーザサブルーチンを組み込むには,コード毎に異なるユーザサブルーチンの仕様を理解することは当然必要であるが,FEMコードの内側で材料サブルーチンがどのように機能するかを知識として持つことはユーザサブルーチンの仕様を理解する上でも有用である.各材料構成式の解説の前段として,材料ユーザサブルーチンを適切に利用する上での基礎事項を解説する.

  1. FEMコードの中の材料構成則サブルーチンの役割
  2. 材料モデルドライバの機能
  3. 汎用コードが前提とする材料構成則
2-3 亜弾性モデルを用いた金属の構成式
〜弾塑性モデル〜
〔瀧澤英男(日本工業大学)〕

負荷応力が降伏応力を超過すると,塑性変形が生じる.塑性変形の記述には,応力成分の関係式である「降伏関数」という概念が用いられる.本講では,金属の塑性変形の概要とその数式的表現を解説し,降伏関数や硬化則の数値解析上の取り扱いについて説明する.

  1. 塑性とは何か
    • 1.1 固体の流動
    • 1.2 単軸応力での弾性と塑性
    • 1.3 多軸への拡張
  2. 弾塑性構成式の概念
    • 2.1 降伏関数
    • 2.3 硬化則
    • 2.2 流動則
  3. 基礎式の展開
    • 3.1 基礎式
    • 3.2 応力積分
    • 3.3 整合接線係数の算出
  4. ユーザサブルーチンへの組み込み
2-4 超弾性モデルを用いたゴムの構成式
〜超弾性・ダメージモデル〜
〔寺嶋隆史(明治ゴム化成)〕

ゴム材料の力学挙動には弾性的性質の他,Mullins効果や粘弾性といった非弾性的性質がある.材料構成式として,超弾性体を基礎としたダメージモデルや粘弾性体が導入される.超弾性体にダメージの効果を導入した材料構成式について,ユーザサブルーチンに実装する際の基礎事項を解説する.

  1. ゴム材料の力学挙動
  2. 超弾性体
    • 2.1 体積変形項と等容変形項の分離
    • 2.2 応力と(整合)接線係数
    • 2.3 実装例
  3. ダメージモデルの導入
    • 3.1 連続体損傷力学に基づくモデル
    • 3.2 準弾性体に基づくモデル
    • 3.3 応力と整合接線係数
2-5 ユーザサブルーチンに取り組むために
〜最初に疑問に思う点〜
〔井上友景(アイシンAW-I)〕

FEMコードには,サブルーチン機能が搭載されており,ユーザーに対し,独自の機能拡張を許す環境を提供している.しかしながら,その基本となるFortranの作法,サブルーチンのルールに精通している事が要求される為,誰しも簡単には取り組めない側面もある.本講では,ユーザサブルーチンに取り組むにあたって,最初に疑問に思うであろう点について,過去の材料モデリング分科会での実際の作業事例も交えながら,分かり易く説明する.

2-6 材料モデリング分科会の活動紹介
〔瀧澤英男(日本工業大学)〕

構成式のほとんどが,その発案者の名前を冠することからもわかるように,材料の力学的特徴を表現するために,多彩な材料モデルが提案されている.本協会の「材料モデリング分科会」では,これらの多様な材料モデルを体系的に学ぶ活動を進めている.

ここでは,材料モデリング分科会の活動について紹介し,作業部会で開発している汎用コード向けの共通サブルーチン(弾塑性:UMMDp,およびゴム・樹脂:UMMDr)についてその考え方を説明する.