非線形CAE勉強会

第32期非線形CAE勉強会・シラバス

 

「非線形CAEの新しい潮流」

第1日目(2017/10/28,10:00〜17:00)

1-1 新しい潮流と非線形CAE
〔寺田賢二郎(東北大学)〕
1-2 新しい複合材のCAE
〔荒井政大(名古屋大学)〕
  1. 複合材料の粘弾性解析
    • 1.1 粘弾性材料の構成方程式
    • 1.2 熱粘弾性とシフトファクター
    • 1.3 複合材料の残留応力解析
    • 1.4 CFRP複合はりの振動特性評価
    • 複合材料の熱弾粘塑性解析
    • 2.1 粘弾塑性材料の構成方程式
    • 2.2 均質化法の適用
    • 2.3 CFRPの粘弾塑性解析
    • 2.4 損傷力学を考慮した特性評価
    • 超音波を用いた材料評価
    • 3.1 RUS法を用いた弾性定数の測定
    • 3.2 パルスレーザースポレーション法による界面・層間強度の評価
1-3 V & Vと不確かさの定量化
〔山田貴博(横浜国立大学)〕

V&V(Verifiction and Validation,検証と妥当性確認)は,近年,数値シミュレーションの信頼性を確保するための標準的な手法となっている.また,シミュレーション結果の妥当性確認では,比較対象となる実験には不確かさが含まれることや,シミュレーション結果に基づく意思決定においては,設計,製造プロセスにおける不確かさを含めた検討が必要となる.このよう,V&Vと不確かさの定量化(UQ, Uncertainty Quantification)は不可分なのもと考えられている.本講義では,まずV&Vおよび不確かさの考え方を概説し,現在提示されている各種のガイドラインとそのプロセスの概要について説明する.また,V&Vの実施や不確かさの定量化において必要な具体的手法について解説する.さらに,不確かさを考慮した典型的なV&Vプロセスの例を提示する.

  1. V&Vとは
  2. 不確かさとは
  3. V&Vのガイドラインとそのプロセス
  4. V&Vの手法
  5. 不確かさの定量化手法
  6. V&V+UQの実施例
1-4 心臓有限要素解析の医療・創薬への応用
〔岡田純一(東京大学)〕

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を果たす重要な臓器である.また心臓疾患は日本の死因の第二位,米国では第一位となっている.我々は,計算科学を心臓疾患治療に活用すべく,世界に先駆けて有限要素法に基づく心臓シミュレータ(UT-Heart)を開発した.心臓の解析のためには,電気現象-興奮収縮連関現象-力学現象間の相互作用を考慮する事が必要となる.また例えば心電図は心筋細胞-心臓-胸郭の多階層に渡る現象の結果として観測されるものである.UT-Heartはこれらの現象・階層を統合して解析を行うマルチスケールマルチフィジックスシミュレータである.UT-Heartの利用により心臓理解の増進と共に,これまでに無い新たな医療機器,薬剤,治療法の開発が可能になりつつある.UT-Heartの概要を解説すると共に応用例を紹介する.

  1. 心臓の数理モデル化
  2. 心臓シミュレータの概要
  3. 心臓シミュレータの実用化について
  4. 心臓シミュレータの医療への応用
  5. 心臓シミュレータの創薬への応用
1-5 最適設計の基礎とトポロジー最適化
〔山田崇恭(京都大学)〕

近年のCAE技術の発展と計算機性能の向上に伴い,CAEを利用した設計案の改善が積極的に図られるようになっています.構造最適化は、設計者の勘や経験に頼らずに,CAEによる力学的評価と数学的根拠に基づいて,構造物の最適な形状を求める方法です.ここでは,構造最適化の基礎や基本的な考え方を中心に概説します.また,トポロジー最適化の最新の成果事例をもとに,製品設計における構造最適化の展開構想についても紹介します.

  1. 構造最適化とは
  2. 最適化の基礎
  3. 設計感度解析
  4. 構造最適化への適用
  5. まとめ