非線形CAE勉強会
第14期非線形CAE勉強会・シラバス
第2日目 (2008年11月23日日曜日)
2-1 | 非弾性体の構成式の基礎 〔長岐滋@農工大〕(90) |
非弾性構成式,特に温度の影響やや材料組織の変化を取り入れた構成式の基礎的な考え方について述べる。
- 弾性と非弾性
- 非弾性とは何か,各種の非弾性構成式を概観する
- 熱・力学的な構成関係の基礎
- 2.1 熱と変形の連成を考慮する場合の構成関係
- 2.2 熱弾性体の構成関係の例
- 内部変数を用いた構成関係
- 3.1 内部変数とは何か
- 3.2 内部変数と非弾性変形
- 相変態を考慮した構成関係
- 内部変数を用いて鋼の相変態の過程を記述する例
2-2 | 冷間成形における材料の延性破壊 〔吉田佳典@名古屋大〕(80) |
冷間成形における被加工材の破壊は延性破壊が支配的である.通常,冷間成形においては破壊を避けるようにプロセス設計を行うことが常であるが,せん断加工のように破壊を積極的に利用しかつコントロールすることが重要な加工もある.ここでは,まず破壊現象一般について概観し,破壊予測に必要な延性破壊条件式およびその運用方法について述べる.また,条件式に含まれる破壊に関する材料物性値(延性破壊パラメータ)の測定事例と,これらを用いたFEM解析事例について述べる.
- 冷間加工における延性破壊について
- 延性破壊発生の判定条件
- 2.1 積分型延性破壊条件式
- 2.2 ボイド理論に基づく方法(GTNモデル)
- 2.3 空孔生成臨界ひずみモデル
- 延性破壊パラメータの測定事例
- 3.1 画像解析を用いた切欠付丸棒引張試験
- 3.2 限界ダメージ値の決定方法
- 3.3 GTNモデルにおけるパラメータ決定方法
- FEMにおける延性破壊の取り扱い
- 4.1 アダプティブリメッシング
- 4.2 き裂形状の表現方法
- 延性破壊を考慮したFEMによる変形解析事例
- 5.1 多段押出しにおける内部割れ予測事例
- 5.2 せん断加工の変形解析事例
2-3 | 熱間成形における変形と組織 〔湯川伸樹@名古屋大〕(80) |
- 熱間加工の概要
- ・熱間圧延、熱間鍛造などの実例紹介
- ・形状の作り込みと材質の作り込み
- 熱間加工中の組織変化と変形抵抗
- ・動的回復・再結晶による軟化
- ・オーステナイトの動的・静的再結晶モデル
- 加工と冷却による組織変化とその予測
- ・初期オーステナイト粒径予測モデル
- ・変態予測モデル
- ・機械的性質予測モデル
- 解析例
- ・非調質鋼の制御鍛造への適用例
2-4 | 板材成形のCAE(冷間) 〔岩田徳利@豊田中研〕(45) |
板材成形における金型、材料、摩擦などのモデル化について事例を交えて紹介する。
- 板材成形の概要
- 板材成形の各工程、成形不良(割れ、しわ)、形状精度不良(スプリングバック)について説明する。
- 板材成形CAEの特徴
- 金型形状、材料、摩擦などのモデル化
- 3.1 金型
- 3.2 材料(応力―ひずみ関係、降伏関数、加工硬化則など)
- 3.3 接触・摩擦(摩擦係数、ドロービード)
- 3.4 割れ条件
- モデル化の解析結果への影響
- 各種モデル化の成形不良、形状精度不良に与える影響について事例を交えて紹介する。
2-5 | ホットプレスのCAE 〔梅津康義@JSOL〕(45) |
- 自動車の燃費向上ため車体の高強度化と軽量化の相反する目的を達するべく、板材のホットプレス工法が注目をされている。
- 現在、多く利用されているハイテン材の冷間加工では、金型による成形が難しく、またスプリングバックの変形が大きいために製品の寸法精度確保が大きな課題になっている。
- ホットプレス工法は、いわゆる「焼き入れ」であり、加熱した板を成形と同時に急冷してハイテン材よりも高強度の材料にする工法で、スプリングバックの変形が少ないのが特徴である。
- 比較的欧州で進んでいるホットプレス工法は、日本にも拡がりを見せているが、今後部品数が増えてくるとCAEによる製品設計や工程設計などの事前検討が必須となってくる。
- この講義では、ホットプレスのCAEについて、2008年9月に行われたNUMISHEET2008での取り組みを中心に、主な研究テーマ、実際の計算例、CAEでの課題などを紹介する。