非線形CAE勉強会
第25期非線形CAE勉強会・シラバス
「構造力学を踏まえたこれからのCAE」
第4日目(2014/6/8,10:00〜16:10)
4-1 | イントロダクション 〔運営委員〕 |
4-2 | 複合板のマルチスケール解析 〔寺田賢二郎(東北大学),平山紀夫(日東紡)〕 |
様々な構造物の近似方法のなかでも、「板・シェル構造」による2次元近似は、古くから理論的に整理され、実際の設計現場にも浸透した極めて実用性の高い手法である。本講義における複合板は板厚方向および面内に非均質性を有する板・シェルを想定しており、これに対するマルチスケール解析のための定式化と解析例を示し、手法の適用性について考察する。特に、複合板に対する数値平板特性試験の手順と解析結果について紹介し、数値材料試験の計算精度の妥当性を検証するとともに、局所化機能によりシェル構造の詳細な応力状態の観察が可能であることを紹介する。
- 複合板の定義と種類
- 積層板の古典理論
- 数値平板特性試験と局所化の方法
- 複合板のマルチスケール解析
- 解析例と考察
4-3 | シェルと梁の座屈問題 〔藤井文夫(岐阜大学)〕 |
骨組系やシェルの座屈は,Euler や Koiter に代表されるように歴史的にも古くから議論されてきた構造安定問題です.この力学現象ではヤコビ行列(剛性行列)が特異行列になるため,剛性方程式が簡単には解けなくなります.もとより「なぜ座屈するのか」の感覚的理解が困難であるなど,いつの時代においても重厚テーマのひとつとなっています.それならば座屈を直感的に理解するのではなく,数理的に考えることで理解が容易となる場合があります.しかも初歩的な座屈概念に限定するのであれば、中学生レベルの数学で十分です.以上を本講座の導入部として,
- - シェルやはりなどの構造要素(回転自由度をもつ有限要素)の使用を前提として,
- - 実務的な有限要素解析への応用を意識しながら,
- - 平衡解の安定性とは何かの解説(リアプノフなど)をはじめとして,
- - シェルや骨組系の非線形分岐座屈解析例まで概観します.
- - 座屈解析における注意点(私見を含む)についてもまとめます.
- 数学の基礎:
- @ Q:座屈とは何か? →A:因数分解です!
- - 直線の交点の求解(二元連立線形方程式の解法で単純化)
- - 平面曲線の追跡法
- - and/or を含む問題設定
- - and は中学生の数学,or が工学の座屈問題
- 力学の基礎:
- @ Q:平衡解の安定性の判別法は? →A:「イジメ」の世界です
- - 座屈現象の理解に欠かせない概念-平衡の安定性
- - リアプノフの考え方
- - 限りなく純白に近い灰色は不安定
- - 微小かく乱とは
- - 線形化運動方程式の動的解の安定性
- - 効率的に不安定なかく乱モードを見つけるには
- - 二次形式と正定値性
- - では非線形有限要素法ではどうする
- 解析例:シェルと梁
- @ “ホンマでっかあ?”的な作品集
- - 単純なオイラー座屈に隠された安定性
- - 2Dフレームの異色の多重分座屈現象
- - 「難度の極み」頂上分岐
- - 対称性に起因する多重分岐座屈
- - 球面シェル・円筒シェル
- - 引張力で発生する座屈現象
- まとめ
- @ 座屈私信(指針)
- - ありがちな盲信
- - 完全系か不完全系か
- - 単純に初期不整を入れて済む話かあああ?
- - 不安定経路をあえて追う意味は?
4-4 | シェル要素の理論 〔山田貴博(横国大学)〕 |
固体構造に対する有限要素法において,シェル要素は最後に確立したものであり,さまざまな工夫が行われている.したがって,適用する対象に応じて注意を払い,使い分けることが必要となる.ここでは,シェル要素の理論的背景から要素の特徴と適用対象の関係を概説する.
- 板曲げ要素の理論
- シェル要素の構成
- 新しいシェル要素
4-5 | 総括 〔運営委員〕 |