非線形CAE勉強会
第28期非線形CAE勉強会・シラバス
「CAEのカスタマイズ 〜精度・効率・運用の差別化〜」
第2日目(2015/11/22,10:00〜16:40)
2-1 | 2日目イントロダクション 〔運営委員〕 |
2-2 | 材料モデリング総論 〔瀧澤英男(日本工業大学)〕 |
有限要素解析で用いる式の中で「ひずみの定義」や「力のつりあい」はユーザが直接関わることはできない.しかし,「構成式」については非線形材料の解析を実行する場合,ユーザが積極的に関与しなければ解析精度の向上は難しい.2日目の導入部として,有限要素解析における材料モデルの位置づけと,市販コードに組み込まれている既存のモデルの考え方と独自のモデルを組み込むための枠組みについて解説する.
2-3 | ユーザサブルーチン基礎 〔井上友景(アイシンAW-I),寺嶋隆史(明治ゴム化成)〕 |
FEMコードには,サブルーチン機能が搭載されており,ユーザーに対し独自の機能拡張を許す環境を提供している.しかしながら,その基本となるFortranの記述法やサブルーチンの作法に精通している事が要求される為,初心者にはハードルが高い.本講では,ユーザサブルーチンに取り組むにあたって注意すべき点を,実際のサブルーチンコードも例示して分かり易く説明する.
2-4 | 弾塑性モデルの構成式:異方性降伏関数の組込み 〔瀧澤英男(日本工業大学)〕 |
圧延によって製造される板材の塑性変形挙動を解析するためには,異方性降伏関数が用いられる.一部のコードを除けば,汎用コードに組み込まれている異方性降伏関数は,学会などで提案されている降伏関数のごく一部にすぎない.本講では,有限要素解析の中で弾塑性モデルがどのように扱われているか解説し,具体的な異方性降伏関数の組み込み方法について説明する.
- 弾塑性構成式の概念
- 1.1 降伏関数
- 1.2 硬化則
- 1.3 流動則
- 基礎式の展開
- 2.1 基礎式
- 2.2 応力積分
- 2.3 整合接線係数の算出
- ユーザサブルーチンへの組み込み
2-5 | 有限ひずみ粘弾性モデルの構成式とその組込み 〔寺嶋隆史(明治ゴム化成)〕 |
ゴム材料は大きく変形しても除荷するともとの形状に戻るという性質を持つ.また,粘弾性的性質によりエネルギ吸収を発現し,ゴム製品によってはこの特徴を積極的に利用している.ゴム材料のエネルギ吸収性能をモデル化する構成式は様々提案されているが,汎用FEMで利用しようとした場合には多くはユーザ自身で組み込む必要がある.本講義では,ゴム材料の非弾性構成式の中でも比較的簡易な有限ひずみ粘弾性体の組込みについて解説し,ユーザ自身でさらに発展的な構成式を組込む際の一助とする.
- 超弾性体
- 有限ひずみ粘弾性体の導入
- 2.1 モデルの概念
- 2.2 応力積分
- 2.3 整合接線係数
- ユーザサブルーチンへの組み込み
2-6 | 材料モデリング分科会における最近の取り組み 〔西脇武志(名古屋市工業研究所)〕 |
多くの汎用FEMコードには,複数の金属やゴムの材料モデルが組み込まれているが,樹脂専用の材料モデルは備わっておらず,樹脂の変形特性を表現できる商用コードは少ない.また,樹脂の材料特性は,環境,変形速度,試験方法によって大きく影響を受けるにも関わらず,測定条件を明示した材料データの公開例は少ない.そこで,材料モデリング分科会の活動の一つとして,試験条件を明確にした樹脂の材料データ計測に取り組んでいる.高速引張試験機やデジタル画像相関法などの試験計測装置を利用した活動を紹介する.