非線形CAE勉強会
第33期非線形CAE勉強会・シラバス
「データサイエンスとCAE」
第4日目(2018/6/3,10:00〜16:30)
4-1 | 深層学習と進化的機械学習の基礎と応用 〔長尾智晴(横浜国立大学)〕 |
昨今,人工知能,特に深層学習(ディープラーニング)に基づく機械学習に世間の注目が集まっている.深層学習はend-to-endで入出力信号間の関係をモデル化することができ,応用範囲が広い優れた手法であるが,整った学習用データが多数必要であること,構築された処理がブラックボックスになり説明できないこと,構造の設計などが職人芸であることなど課題も多く,産業界で利用する際の大きな障害になっている.これに対して,最近,確率的最適化法である進化計算法を機械学習に用いる “進化的機械学習”が講演者などの進化計算研究者によって提案されており,世界的に注目されている.今回は深層学習の本質と課題について述べた後,深層学習を含む現在の機械学習を最適化する次世代のAIである進化的機械学習の原理と方法,画像認識・時系列予測・群ロボット制御・ロボットハンド制御などへの応用について平易に解説する.
- 人工知能と機械学習
- 深層学習(ディープラーニング)の本質と課題
- 進化的機械学習の原理と方法
- 進化的機械学習の応用例
- まとめ
4-2 | Hardware-In-the-Loop(HIL)とCAEの融合 〔山田隆(JMAGビジネスカンパニー)〕 |
ものづくりをよりスマートに行うためにモデルベース開発が進められており、その中でFEAをはじめとするCAEも重要な役割を果たしているが、システムレベルの検討ではHILが主要なツールになっている。特に自動車では多様なコンポーネントを制御するために複雑な制御が必要であり、ECUの開発ではHILは必須のツールとなっている。さらにEVでは、これまでの垂直統合から水平分業的な開発スタイルに移行するため、システムレベルの設計と検証の重要性が増しておりHILがより活用されると見込まれている。 br>
これまでHILはCAEとはそれぞれシステムレベルとコンポーネントを対象にしており対極に位置していたため接点が少なかったが、モデルベース開発を突き進めて行くと、両者の融合が求められる。
ここではHILおよびMIL(Model-In-the-Loop Simulation)の概要と電機設計におけるHILとCAEの関連、協調効果について事例を交えて解説する。
- モデルベース開発とHIL
- CAEによるプラントモデル生成
- 事例紹介
- 今後の課題
4-3 | モデルベース開発(MBD)に向けたCAEの活用〜製品の本質的な機能を考えるには?〜 〔吉田夕貴夫(ISIDエンジニアリング)〕 |
これまでのシミュレーション技術の変遷と現状の課題に言及する。本来あるべきシミュレーション技術に「機能エンジニアリング」を取り入れた考え方に基づいて概説し、さらに’モデル’構築に関して考察する。
- シミュレーション利用技術の検証
- 機械設計とは?
- 力学モデルとは?
- 設計見通し
- 手計算 → 有限要素法へ
- FEMの変遷
- 開発プロセスへの導入
- 現在状況の考察
- MBDに用いるモデル作成の考え方
- 開発プロセスとツール適用イメージ
- モデル化事例:カーエアコンの冷却性能への適用
- 要求分析
- 要求を満たす機能の検討(分解)
- 機能を実現する方式の検討
- 各ブロックの定式化
- 参考:制御の検討
- 機能を要素に割り当てる
- 要素ブロック図作成
- システムの階層構造ツリー
- シミュレーション利用技術の再考
- 目指すべき姿 開発日程
- 「機能で考える開発」
- 従来との考え方の違い
- 「機能で考える設計」の検討プロセス
- 『機能で考える開発』の薦め
- シミュレーション技術の活用シーン
- まとめ
4-4 | システムエンジニアリングに関して 〔長谷川浩志(芝浦工大)〕 |
データサイエンスやCAEは,著しい発展を遂げており,解決すべき課題は,1つの分野のみならず多数の分野が組み合わさったものが大半である.また,製品開発は,1つの分野の知識のみで実現するものではなく,システムとして考え,展開していくシステム思考に基づく工学が必要である.本講義では,「成功裏にシステムを実現するための,分野横断のアプローチまたは手段」*であるシステムズエンジニアリングの概念,さらにCAEに展開するうえでの考え方について解説していく.
* INCOSE: International Council on Systems Engineering, Systems Engineering Handbook, Ver.3.
- システムとシステムズエンジニアリング
- システム思考に基づくアプローチ
- 複雑システムに対するモデリングアプローチ
- モデリング&シミュレーションの考え方
4-5 | 総括 〔山田貴博(横浜国立大学)〕 |