非線形CAE勉強会
第34期非線形CAE勉強会・シラバス
「データサイエンスとCAE」
第4日目(2018/12/23,9:30〜16:20)
4-1 | 深層学習によるシミュレーションレスCAE 〜計算力学サロゲートモデルの構築〜 〔和田義孝(近畿大学)※〕 |
深層学習は画像認識をはじめとする応用事例が数多く研究・実用化しつつあります。一方で、工学問題においてはその成果や学習方法の方針などこれからより多くの研究事例とその整理が必要です。本講義ではディープラーニング特に深層学習による学習を4つのカテゴリに分けて、計算力学の対象とする問題へ適用するための基本的な分類方法を提示します。さらに、その中で最も工学問題への適用を期待される2つの分類の事例を紹介(き裂進展予測など)を通じてその可能性について講演いたします。
- 機械学習とは
- ディープラーニングとサロゲートモデル
- 学習方法
- ディープラーニングの計算力学における分類
- 学習させるデータに関するいくつかの注意
- 事例(き裂進展のサロゲートモデルなど)
- 今後の展望
4-2 | 深層学習と進化的機械学習の基礎と応用 〔長尾智晴(横浜国立大学)〕 |
昨今,人工知能,特に深層学習(ディープラーニング)に基づく機械学習に世間の注目が集まっている.深層学習はend-to-endで入出力信号間の関係をモデル化することができ,応用範囲が広い優れた手法であるが,整った学習用データが多数必要であること,構築された処理がブラックボックスになり説明できないこと,構造の設計などが職人芸であることなど課題も多く,産業界で利用する際の大きな障害になっている.これに対して,最近,確率的最適化法である進化計算法を機械学習に用いる “進化的機械学習”が講演者などの進化計算研究者によって提案されており,世界的に注目されている.今回は深層学習の本質と課題について述べた後,深層学習を含む現在の機械学習を最適化する次世代のAIである進化的機械学習の原理と方法,画像認識・時系列予測・群ロボット制御・ロボットハンド制御などへの応用について平易に解説する.
- 人工知能と機械学習
- 深層学習(ディープラーニング)の本質と課題
- 進化的機械学習の原理と方法
- 進化的機械学習の応用例
- まとめ
4-3 | CAE/CPSにおけるデータ同化技術の可能性 〔加藤博司(JAXA)〕 |
設計要求の多様化に伴って、解析すべき現象は複雑化している。現象の解明・予測にとって、シミュレーション技術、計測/観測技術は、必要不可欠な道具であるが、複雑現象を対象にした場合、両技術に内在する不確実性への慎重な対応が求められる。気象海洋分野では、シミュレーション技術に内在する初期・境界条件の不確実性の低減のために、シミュレーション技術と観測情報を有機的に統合するデータ同化技術が大きな役割を果たしている。本講演では、このデータ同化技術を設計・工学の立場から概観するとともに、これまで講演者らが行ってきた航空流体分野へのデータ同化の応用事例を紹介する。そして、データ同化技術の工学分野への応用に向けた今後の展望を紹介する。
- データ同化技術の紹介
- データ同化技術の活用事例
- 航空流体分野へのデータ同化の応用事例紹介
- 3−1 データ同化の方法
- 3−2 事例1 疎計測情報を使った乱流場の推定
- 3−3 事例2 乱流モデルのパラメータ最適化
- まとめと今後の展望
4-4 | 多目的最適化と進化計算:流体を題材に 〔立川智章(東京理科大)〕 |
実際の設計最適化問題では,互いに相反する目的関数(評価基準)が複数存在する多目的最適化問題となる場合が多い.多目的最適化問題に対するアプローチの一つに進化計算がある.本講演では,進化計算の中でも多目的進化計算の基本的なアイデアと最近の動向について触れるとともに,ロケット射点形状の空力音響多目的最適化問題への適用事例を紹介する.
- 多目的最適化とは
- 多目的進化計算の基礎
- 2.1 進化計算とは
- 2.2 MOGA
- 2.3 NSGA-II
- 2.4 最近の動向
- ロケット射点形状の空力音響多目的最適化
- まとめ
4-5 | 総括 〔山田貴博(横浜国立大学)〕 |
※都合により講師を変更いたしました.