非線形CAE勉強会

第3期非線形CAE勉強会・シラバス・第1日目

 

第1日目:非線形CAEと力学 [ 2003年5月10日 ]

挨拶 〔小林卓哉@Mech.Des.&Anal.〕(10)
概論 非線形CAE〔寺田賢二郎@東北大〕(30)
講義A 「非線形CAEにおける力学」
〔京谷孝史@東北大〕(100)
  1. 力学モデルの成り立ち
  2. 連続体内の力の表現、コーシー(Cauchy)の応力テンソル
  3. 連続体の変形の表現、有限ひずみテンソル
  4. 仮想仕事式、種々の応力テンソル
  5. 構成則の役割
講義B 「非線形CAEにおける解析」
〔寺田賢二郎@東北大〕(100)

非線形CAEにおいて解くべき力学問題について、有限要素法で解くための理論的背景、ならびに技術を概説し、問題を「記述すること」と「解くこと」が別物であることを強調する。特に非線形問題であっても、解くべき式は形式的には線形問題と同一であることを概念的に示し、非線形性応じた解法、アルゴリズムが利用されることを例示する。また、動的問題については、時間方向の差分近似に応じて陰解法と陽解法に分けられるが、準静的問題も交えた一般的に形式から類似点、相違点をまとめる。具体的項目は以下の通り:

  1. 非線形力学問題を“記述する”
    • 1-1 非線形力学問題の支配方程式
      −初期値・境界値問題−
      •  ・物理法則と構成則
      •  ・固体のつり合い問題の支配方程式
    • 1-2 非線形性はどこにあるか
    • 1-3 物質記述と空間記述の区別は必要か
      •  ・それでも現象は一つ
      •  ・仮想仕事式
  2. 有限要素法により非線形力学問題を“解く”
    −問題の記述と解法の関係−
    • 2-1 離散化された運動方程式(固体)
    • 2-2 動的と静的
    • 2-3 陰解法と陽解法
    • 2-4 線形と非線形
  3. 非線形CAEで評価する対象
講義C 「非線形CAEにおける解法」
〔藤井文夫@岐阜大〕(80)

有限要素法により離散化された非線形支配方程式(固体・構造)の解法を念頭に置いて、非線形解の意外性と、実際の非線形解法において注意すべき一般的事項を、問題の本質を失うことなく、簡単な平面曲線を用いて平易に、そして具体的に解説する。 また数理的な非線形解法の手段として、CAE分野ではあまり知られていない大域的非線形解法を紹介する。さらに剛性行列の数理についても簡単に触れる。剛性方程式の解と、剛性行列の固有解との関係や、剛性行列が特異行列となった場合の剛性方程式の解法は座屈安定解析において不可欠の数理知識である。

  1. 非線形解法において留意すべき一般的事項
  2. 見逃しやすい解(遊離経路・孤立解など)の存在
  3. 問題を複雑化する分岐点
  4. 局所的収束性を有する非線形解法(ニュートン・ラフソン法)
  5. 大域的収束性を有する非線形解法(ホモトピー法など)
  6. 剛性行列の数理
  7. 例題(有限変位、分岐理論、STAICS、Dynamics など)