非線形CAE勉強会
第3期非線形CAE勉強会・シラバス・第3日目
第3日目:CAEにおける有限要素I [ 2005年5月24日 ]
【汎用CAEソフトに含まれる有限要素:Part I 理論と要素特性】 | |
概論 | 「有限要素入門」 〔山田貴博@横国大〕(50) |
有限要素法は、数学的に無限に小さい要素を使えば厳密解に収束する近似を構成できることを証明できる数値計算手法である。一方、現実の数値計算においては、あくまで有限の大きさを持つ要素を用いることが前提にあり、そのためさまざまな問題が発生し、要素レベルで工夫が行われている。ここでは、有限要素法の近似手法としての意味と特徴を概説し、要素の性能を理解するための基本的な概念を導入する。
- Galerkin法の意味
- 有限要素近似の位置付け
- 有限要素に必要な性質
- 物理モデルと近似の対応
- 有限要素に望まれる性質
- 有限要素の性能
講義A | 流体の要素とその特性 〔樫山和男@中央大〕(60) |
本講義では,流れ現象の物理的・数学的特徴とそれに適合した 空間の離散化手法について解説する.講義内容は,概ね以下のようである.
- 流れ問題の非線形の特徴
- Navier-Stokes方程式の特徴
- ・双曲型と放物型の混合
- ・(移流拡散方程式との共通点)
- ・Reynolds数の意味
- ・移流項の働き
- 有限要素法による離散化と要素の特性
- ・風上有限要素法,Petrov-Galerkin法の必要性
- ・下限・上限条件と混合補間
- ・解法(直接法,分離型解法,Penalty法)
- ・要素の選択とメッシュ分割の注意点
- 商用コードについて
講義A | 「固体の要素とその特性」 〔関口美奈子@ミシガン大〕(60) |
市販のCAEソフトウェアに含まれる固体の要素(質量、減衰、剛性)マトリックスがどのようにして構成されているのか、また各要素の特性について説明し、参考文献を提供する。
- 各要素の理論と特性
LS-DYNAの固体要素は低減積分法とアワーグラス制御、ABAQUSは選択低減積分法、NASTRANやANSYSは、応力/ひずみ仮定要素に従って要素が作られている。そこで、これらの基本的な要素について、有限要素法の定式化の基礎となっている変分法を基に説明する。
- 質量マトリックスについて
NASTRANは集中(Lumped)質量マトリックスをしようしているので、集中質量マトリックスの作り方やその特性について説明する。
- 減衰マトリックスについて
一般の減衰マトリックスはRayleighの考え方に従い質量マトリックスと剛性マトリックスの線形和として作られるが、この考え方と特性について説明する。
- 特種要素について
(時間の許される範囲で)接触要素や亀裂先端まわりでの特異要素、半無限領域要素などの特種要素について言及する。
講義C | 「板・シェルの要素とその特性」 〔石井恵三@くいんと〕(60) |
有限要素の中で基本的な平板の曲げについて、基礎的なことを定式化がしやすいReissner/Mindlin型低自由度の要素を取りあげ概説する。次に、平面応力要素と板曲げ要素を組み合わせた平板シェルの組み立てについて概説する。
- 平板の曲げ理論の概要
- Kirchhoff平板要素
- Reissner/Mindlin平板要素
- Reissner/Mindlin平板要素における剪断硬化とその対策
- 数値例の紹介
講義D | ABAQUSに含まれる要素とその特徴・実例 〔正司康雅@ABAQUS, Inc.〕(60) |
特別講義 | 「医工学におけるマルチスケール・マルチフィジックス問題」(40) 〔久田俊明先生@東大〕 |