非線形CAE勉強会

シラバス

 

第4日目:連成CAE-II (2006年 1月8日 日曜日)

4-1粉体・焼結における連成CAE
〔相澤龍彦@トロント大〕(50)

「粉」あるいは「粒状態」という形態をとっている物体は、われわれの生産過程で扱う粉末冶金、粉体成形、粉末工学に加え、食品・医薬品などの人工物形態、さらに天然物にも多く見受けられる。粉の特性は1つ1つの粒に起因する特性に加え、その集団特性にあり、工学的応用では、むしろ集団特性を制御することで、生産プロセスを実施してきた。一方、焼結あるいは乾燥過程を経て得られるポーラス材料は、「土」などの天然物から焼結体までの人工物までの広がりをもっている。

ここでは、連続体モデリングとの対比を行いつつも、むしろ粉粒状体モデリングを用いた、粉体・焼結体のモデリング、特に変形・流動と熱伝達との連成現象に留意して、理論的とりあつかいを述べることにする。連続体モデル化に向けての構造化手法あるいは均質化法を応用した連続体モデルからのアプローチはまたの機会に述べたい。

  1. 粉体・焼結体のモデリング
    • ・ 粉粒状体モデリングと連続体モデリング
  2. 粉体の流動特性シミュレーション
    • ・ 集団特性としてのグリーン体の弾粘性予測
    • ・ 粉体の形態、粒径分布の評価
  3. 粉末射出成形シミュレーションへの応用(1)
  4. 粉体の連成解析
    • ・ 空間マッピング手法
    • ・ 時間積分法
  5. 粉末射出成形シミュレーションへの応用(2)
  6. 焼結現象への粉粒状体モデルの適用
  7. 今後の展開
4-2潤滑における連成CAE
〔塩川祥二@エイヴィエルジャパン〕(50)
  1. 潤滑問題での連成解析の必要性 - 内燃機関の例
  2. 流体潤滑の基礎 - レイノルズ方程式
  3. 構造体に対する運動方程式
  4. 油膜と構造体に対するエネルギー方程式
  5. 熱弾性流体潤滑(TEHD)の計算
  6. 粗さの考慮
    • ・ 粗さ接触モデル
    • ・ 平均レイノルズ方程式
  7. 解析事例
4-3流体を中心とした連成CAEの基礎
〔高木周@東大〕(90)

流体-構造連成の問題は、現在、数値流体力学の分野において主要なテーマの1つとなっている。ここでは、自由境界を持つ流れの数値計算手法に関して、固定格子を用いた手法から移動格子による手法まで、有限差分法を中心に様々な手法を紹介し、その特徴を説明する。

  1. 移動境界問題と自由境界問題て
  2. 移動界面の数学的定式化
  3. 自由界面での境界条件
  4. 自由界面流れの計算手法の分類
  5. 各種手法の紹介
    • ・ 境界要素法
    • ・ 有限要素法
    • ・ 有限差分(体積)法
  6. 固定格子を用いた手法の紹介
    • ・ 密度関数法
    • ・ Level Set法
    • ・ 界面追跡法
  7. 境界適合格子を用いた手法
  8. 各種手法の比較
4-4流体と熱の連成CAE
〔佐々木直哉@日立〕(50)
4-5流体と構造の連成CAE
〔植松幹雄@シーディー・アダプコ・ジャパン〕(50)

熱伝達挙動をはじめとして、減衰振動・強制振動・自励振動等、流体と構造体の相互作用による現象は非常に多く存在します。近年これらの現象を分析する方法として流体構造連成解析が広く実施されるようになっています。ここでは以下のような内容で、弊社の取り組み方・手法・事例の御紹介をさせていただきます。

  1. 連携解析について
    • ・ 概要
    • ・ 手法(データマッピングアルゴリズム、データ受け渡し方法等)
    • ・ 適用事例
  2. 弱連成解析について
    <汎用連成解析用インタフェースソフトMpCCIについて>
    • ・ 主要機能概要
    • ・ モデル作成上の留意点
    • ・ 適用事例
  3. 強連成解析について
    <弊社次世代連続体力学解析ソフトSTAR−CCMについて>
    • ・ 有限体積法による定式化概要
    • ・ 適用事例
4-6流体と反応の連成CAE
〔福地健@フルーエント・アジアパシフィック〕(50)
  1. 流動解析の基礎
    • ・ 輸送現象
    • ・ 数値解法
    • ・ 乱流モデル
  2. 燃焼モデル
    • ・ 気相反応の概要
    • ・ 層流素反応解析
    • ・ 乱流燃焼モデル:素反応の無視
    • ・ 乱流燃焼モデル:素反応との連成
  3. 乱流素反応の解析手法
    • ・ Eddy Dissipation Concept(EDC)
    • ・ PDF輸送モデル
    • ・ 反応計算加速法:ISAT
  4. 浮き上り火炎の解析事例
    • ・ 参照実験
    • ・ EDCとPDF輸送モデルによる解析結果
    • ・ 結論、考察、今後の課題