非線形CAE勉強会

第17期非線形CAE勉強会・シラバス

 

第3日目(2010年6月19日土曜日)「個別要素技術のV&V」

3-0 後半イントロダクション(ASME V&Vの紹介)
〔瀧澤英男(三菱マテリアル)〕

前半の講義を振り返り,後半の位置づけについて説明する.また,ASMEのV&Vに記載されているV&Vの概略について説明し,海外におけるV&Vの考え方を紹介する.

3-1 シミュレーションのV&Vと品質保証:NAFEMS,ASMEおよび国内の動き
〔中村均(CTC)〕
  1. 背景と国内外動向一般
  2. V&Vとは:それぞれの定義
  3. ASME V&V 10および20の概要
  4. NAFEMS SAFESAの概要
  5. HQC研究分科会の活動
3-2 塑性構成式のValidation
〔桑原利彦(東京農工大学)〕
  1. 塑性変形における材料モデルの考え方
    異方性降伏条件式,等方硬化モデル,複合硬化モデルに関する簡単な説明
  2. 材料モデルを組み込んだ有限要素モデルのVerification
    CalibrateしたYld2000-2dをABAQUSに組み込み,FEM解と厳密解の一致の度合いを検証
  3. 材料モデルのValidationの例
    • 3.1. 引張曲げスプリングバック解析
      異方性材料において,なぜHill '48よりもVon Misesによる計算値の方が実験値に近くなるのか?
    • 3.2. 高張力鋼板の穴広げ解析
      Calibrationの結果,完璧と判定されたYld2000-2dに基づく計算値でも実験値と合わないのはなぜか?
    • 3.3. 電子部品用極薄ステンレス鋼板SUS304のV曲げスプリングバック解析
      引張強度に異方性がないにもかかわらず,V曲げスプリングバック量に大きな異方性があるのはなぜか?
    • 3.4. 2軸引張応力場におけるアルミニウム合金管の材料モデリング
      複合負荷経路でも等方硬化モデルが使えるか?
    • 3.5. 2軸引張応力場におけるJIS1種純チタン板の加工硬化特性
      六方晶系金属材料に対して,等方硬化モデルを使って良いか?
3-3 複合材のV&V
〔平山紀夫(日東紡)〕

一般的な金属材料などでは,あらかじめ製造された棒材,板材などの材料を加工し,組み立てて所望の構造物をつくる.これに対して複合材構造では,最終形状を樹脂と補強材とから一挙に成形して材料と構造を同時につくる.複合材では,この点が金属材料などの場合と大きく異なり,構造設計と材料設計を同時に考慮する必要があるため,構造設計を複雑なものしている.本来であれば,複合材の成形シミュレーションを行い,その結果を利用して構造設計を進めることが理想である.しかしながら,初期設計の段階では労力がかかりすぎて現実的ではない.このため,本講義では,汎用のCAEソフトや複合材のモデル化支援ソフトにより,複合材構造を正確にモデル化する方法やモデル化の妥当性を評価する方法について解説する.

  1. 高分子系複合材の概要
  2. 高分子系複合材の成形方法
  3. CAEソフトを使用した複合材の構造解析の流れと解析業務における問題点
  4. 材料のモデル化(ミクロな材料のモデル化)
  5. 積層構造としてのモデル化(マクロな材料のモデル化)
  6. 材料主軸のモデル化(構造のモデル化)
  7. 解析結果の評価(マクロな構造とミクロな構造での評価)
  8. 複合材のモデル化とその評価ポイントのまとめ
3-4 アセンブリ構造の解析手法に関して
〔豊田達三(Simulia Corp.)〕
  1. はじめに
    • 1.1 SIMULIAおよび製品の紹介
  2. アセンブリ構造の解析に有効な解析機能
    • 2.1 接触の定義
    • 2.2 ボルトの締め付け
    • 2.3 ガスケット要素
    • 2.4 サブモデルによる解析インポート
    • 2.5 インポート解析
  3. パワートレインの解析事例
  4. まとめ
3-5 有限要素のV&V
〔運営委員+協力各位〕

第15期から取り組んでいる要素のベンチマークを、新たにソフトウェアベンダーの協力を得てトレース・整理しなおすとともに、V&Vの中における要素ベンチマークの位置づけと、これからの取り組みについて整理する。

  1. 球形シェルの固有値解析
  2. 円筒シェルの静応力解析と固有値解析
  3. V&Vにおける位置づけとこれから