非線形CAE勉強会

第20期非線形CAE勉強会・シラバス

 

第1日目(2011/11/19,10:00〜15:50)
 解析手法 (吹上ホール 第3会議室)

1-1 イントロダクション
〔運営委員〕
1-2 非線形CAEの研究動向I〜材料モデリングを中心として〜
〔寺田賢二郎(東北大学)〕

非線形CAEの中心的課題である材料モデリングに焦点を当てて、計算力学分野の研究の動向を論考する。まず、非線形CAEにおける材料モデリングの位置づけを確認し、国際会議にみる材料モデリングの研究動向の調査結果を述べる。そして、それらの発展の経緯および系譜を整理したうえで、非線形材料/幾何学的非線形問題における「材料モデリングの常識」を確認する。最後に、現在の材料モデリングのトレンドである、マルチスケールモデリングための方法論を整理し、今後の研究の方向性と非線形CAEに展開していための課題について議論する。

  1. イントロダクション
  2. 計算力学の研究動向
    • 2.1 数値解析解析技術/アルゴリズム
    • 2.2 材料モデリング
    • 2.3 ソフトウェア
  3. 材料種別と非線形CAE
    • 3.1 材料種別による分類
    • 3.2 材料モデルに依る分類
    • 3.3 微視的構造による分類
    • 3.4 材料モデリングの研究動向
  4. 材料モデリングの常識
    • 4.1 数理モデル化の常套手段
    • 4.2 微小変形と有限変形
    • 4.3 マルチスケールモデリング
    • 4.4 時間効果
  5. まとめ
1-3 非線形CAEの研究動向II〜解析手法を中心として〜
〔山田貴博(横浜国立大学)〕

力学現象の数値シミュレーションにおいて,有限要素法は強力な手法として広く用いられているが,その弱点も認識され,さまざまな改良が行われている.本講義では,有限要素法の本質である変形あるいは場の近似手法としての側面について,弱点の克服に向けた研究開発における最近の話題と今後の展望を関連手法を含め概説する.

  1. 大変形問題における変形記述
    • 1.1 Lagrange型記述とEuler型記述
    • 1.2 Lagrange粒子を併用した有限要素近似
  2. 近似基底の高次化
    • 2.1 波動・振動問題における高次有限要素の欠点
    • 2.2 Spline近似とIsogeometric Analysis
  3. メッシュに対する制約の緩和
    • 3.1 幾何学的境界条件の制約条件化
    • 3.2 重合メッシュ法
1-4 粒子法の現状と今後
〔越塚誠一(東京大学)〕

粒子法はメッシュを用いない計算手法であり、自由表面や界面の複雑な挙動、混相流、マルチフィジックスなどに適している。ここでは流体シミュレーションを中心にこれまでの粒子法の研究の概要について計算例を示しながら解説する。さらに、今後、粒子法が発展する方向について述べる。

  1. 粒子法の原理と特徴
  2. 研究の現状(主に流体シミュレーション)
    • 2.1 日本における研究
    • 2.2 海外における研究
  3. 今後の方向
1-5 V&Vとその重要性
〔越塚誠一(東京大学)〕

コンピュータシミュレーションを産業で実際に用いるには、結果に対する信頼性の確保が必要不可欠である。V&V(Verification and Validation)はシミュレーションの信頼性を確保するための方法論として世界的に広がりを見せている。ここでは、米国機械学会によるモデリング&シミュレーションに対するV&Vと、ISO9001による品質マネジメントに関するV&Vを紹介する。

  1. V&V (Verification and Validation)の背景
  2. ASME V&VとISO 9001 V&V
  3. 日本における技術基準の作成
    • 3.1 品質マネジメント
    • 3.2 モデリング&シミュレーション
  4. シミュレーションの重要性
1-6 計算機環境の視点からみたCAEの今後10年
〔永井学志(岐阜大学)〕

すでに10年以上前より,計算機の主な性能向上は,演算器(コア)単体によってでなく,それらを可能な限りたくさん並べて協調動作させる並列化によって達成されるようになっている.この並列化の度合いが,GPUの出現により急激化している.今後,1つのチップ上でCPUとGPUがより強く結合されてヘテロジニアス化する方向のようであり,超並列化の流れもしばらくは変わりそうにない.しかもそれが,スパコンやサーバだけでなく,我々が日頃使っているパソコンやモバイル機器でも同時に起きつつある.

一方,スパコンによる一部の計算を除いて,多くのCAEコードは長らくシリアルのまま,あるいはいくらかの並列化に留まっていることが多かった.しかし,今後は身近なところにまでこのような計算機環境が整ってくると,それを積極的に利用しない手はないであろう.

そこで本講演では,このような視点から,今後10年間におけるCAEの計算手法の変化はもちろんのこと,数理モデリングの考え方への影響などについても述べる予定である.