非線形CAE勉強会
第20期非線形CAE勉強会・シラバス
第2日目(2011/11/20,10:00〜16:10)
第20回記念シンポジウム「CAE これからの10年」
(吹上ホール メインホール)
2-1 | イントロダクション 〔運営委員〕 |
2-2 | エンジニアリングからCAEの進化を見てきて(浦島太郎が考えたこと,あれこれ) 〔吉井明彦(住友重機械工業株式会社 顧問)〕 |
機械メーカーでの40年勤務の内の半分以上20年有余を多様な機械の開発設計(エンジニアリング)に関わってきた。その間(70年代〜80年代)CAEとのお付き合いも@関連ソフトの開発、ACAEの導入と推進、B開発設計(CAEのユーザー)、と立場を変えながらさまざまな関わりを経験できた。その後(20年)は製品開発や事業開発そして技術全般の行政と役目も変わりCAEと遠ざかることになったがこの間にCADやCAEツールのめざましい進展があり気が付けばまさに「CAE村の浦島太郎」になっていた。
この浦島太郎感覚は、最近の技術人材育成で現場の中堅若手の技術指導をする中で感じたことであり、自分の現役時代とのさまざまな様変わりに驚いたり考えさせられたりしたことによる。その感じたことをCAEの発展がもたらした功罪両面から振返ってみたいと思う。
当初よりCAEが目指していた設計業務の効率化、特に複雑な機械のシミュレーションを可能にしたことによる試作検証業務の削減や、3D化による組織横断的な情報共有化などが功の部分とされるが、一方で設計者のCAEに依存が強まることで本来の設計業務である設計構想能力が育たない弊害(副作用)も見受けられる。CAEが効果的な業務プロセスを「デジタル型業務」と定義し、CAEに不向きな設計業務を「アナログ型業務」と定義すると両者は以下のような対比構造になる。
<アナログ型業務>=アイデアの構想:
・基本設計(計画)、・ツールは工学理論、 ・ポンチ絵(概念)、
・感とセンス(プロ指向)、 ・設計標準(普遍化)、・・
<デジタル型業務>=アイデアの検証:
・数値シミュレーション、 ・ツールはCAE、 ・CAD図面(具象化)、
・マニュアル(誰でも指向)、・個別課題対応、・・
アナログ型業務は個人の能力に依存する特質があり、デジタル型業務は組織戦に適した業務といえる。商品競争力の源である革新性(イノベーション)のアイデアは個人から生まれるものであり、一方でアイデアの実現には強い組織力が不可欠でもある。まさに組織と個人の関係は車の両輪といえる。
CAEはデジタル型業務の強力なツールでありその普及が組織力の見える化尺度になったりもするが設計(エンジニアリング)における肝心要の構想力やアイデアの創出はあくまでアナログ型業務であり個人の能力(暗黙知)に依存するため見え難い部分でもあり重要さを忘れがちである。アナログ型業務を強化すること(人材の育成)に軸をおいたCAEとの付き合い方が重要だと考える。
以上のような問題意識を踏まえ、講演では;
自分が現役時代のアナログ型エンジニアリングとCAEとの関わりを、さまざまな開発設計の事例のなかで紹介し、開発設計におけるCAEとの付き合い方を「10年後のCAE」も含めて考えるネタとして提供できればと思う。
2-3 | 流体分野におけるCAEの最近の動向と今後の展望 〔大島まり(東京大学)〕 |
数値流体(Computational Fluid Dynamics)の分野は、m(メートル)オーダの単相流体のみを扱う問題から、幅広いスケールにわたる現象を扱うマルチスケール、そして構造や物質輸送などの異なる物理現象との相互作用を扱う連成問題へと発展している。本講義では、このような最近の流体解析の動向について触れる。また、医療分野やμTAS(Total Analysis System)などの応用を例に取り上げ、新しい分野におけるマルチスケールや連成解析の取組みについて解説するとともに、今後のCAEの発展を展望する。
- はじめに
- 流体シミュレーションにおけるマルチスケール解析
- 2.1 マクロからマイクロ流体解析
- 流体シミュレーションにおける連成解析
- 3.1 流体構造連成解析
- CAEの新しい展開
- 4.1 医療分野への応用
- 4.2 μTASへの応用
- 今後の展望
2-4 | Topology Optimization: History and Recent Trends(招待講演) 〔Alejandro Diaz(Michigan State University ),西脇眞二(京都大学)〕 |
2-5 | パネルディスカッション これからのCAE 〔井戸浩登(LMS),川原康照(トヨタ自動車),浅井光輝(九州大学),只野裕一(佐賀大学),永井亨(MSC)〕 |
2-6 | CAE 振り返りとこれから(招待講演) 〔菊池昇(ミシガン大学)〕 |