非線形CAE勉強会

第23期非線形CAE勉強会・シラバス

 

第2日目(2013/5/19,9:30〜16:30)

2-1 破壊・疲労,損傷許容設計について
〔苅谷義治(芝浦工大)〕
  1. 破壊
    • 1-1 ミクロスケールから見た強度と破壊
    • 1-2 急速破壊と靱性
    • 1-3 延性破壊と脆性破壊
    • 1-4 破壊力学パラメータとその計測
  2. 疲労
    • 2-1 き裂生成支配の疲労
    • 2-2 き裂進展支配の疲労
    • 2-3 疲労におよぼす環境因子
    • 2-4 疲労試験方法
  3. 損傷許容設計
    • 3-1 その概念と歴史的背景(事故例など)
    • 3-2 破壊制御設計(形状最適化と材料設計の融合)
2-2 プラスチックのタフニングとその設計
〔石川優(山形大名誉教授)〕

安全性と信頼性の高いプラスチック成形品を設計するための、高分子材料の破壊機構とそれを基礎にしたタフニングについて解説する。

  1. はじめに
  2. 高分子材料の塑性変形
    • 高分子材料の塑性変形の開始機構を分子鎖の局所運動を基本に説明する。塑性変形の開始後のひずみの増加に伴い起こるソフトニング、そして更なるひずみの増加による配向硬化によるフイブリル化、その後に起こるフィブリルの破壊について解説する。
  3. 構造材料のぜい性破壊の機構
    • 種々の形状に成形されたプラスチック成形品のぜい性破壊はひずみの拘束による応力集中に起因する。ひずみの拘束による高い膨張応力によりボイドが形成され、それが不安定に拡張することによりクレイズが形成される。このクレイズの構成するフィブリルの破断により破壊が開始することを解説する。
  4. デザインの調整によるタフニング
    • ひずみの拘束による膨張応力の大きさをボイドの形成の応力以下になるように、成形品の形を調整することによるタフネスの改善方法を解説する。
  5. 微細構造の調整によるタフニング
    • 分子量、分子量分布の幅、分子鎖の立体規則性そして共重合によりフィブリル強度そして降伏応力等の塑性変形の挙動を調整することによるタフネスの改善を解説する。
  6. ブレンドによる複合構造の調整によるタフニング
    • マトリックス樹脂中に分散させるエラストマーの強度、粒子・繊維の界面強度の調整により、成形品に生じるひずみの拘束を解放し、成形品の変形を安定化するタフネスの改善機構を説明する。