非線形CAE勉強会

第38期非線形CAE勉強会・シラバス

 

「非線形CAEの本質を見る力〜基礎から学ぶモデリングとシミュレーション〜」

第4日目(2021/ 6/19, 9:30〜17:00)

4-1 連続体の力学
※途中休憩時間を含む
〔京谷孝史(東北大学)〕
  1. Cauchy応力テンソルとつり合い式
  2. 変形勾配テンソル
  3. 有限ひずみテンソルと微小ひずみテンソル
  4. 構成則の役割(微小ひずみ理論を例に)
  5. 仮想仕事式
  6. 種々の応力テンソル
  7. および上記に関連した数学の基礎

※上記の内容を,4日間に分けて講義します

4-2 陽解法と陰解法の本質
〔伊田徹士(JSOL)〕

近年構造解析は研究分野だけでなく、製品開発の現場においてなくてはならないものとなっている。この中で、CADなどに組み込まれたり、統合IFが用意されている線形解析は特に予備知識なく使えるようになってきているのに対して、非線形解析はいまだ、専門家とは言わずとも、解析にかかわる知識を要求される。この非線形問題を数値的に解く方法として多くの汎用ソフトウェアには陰解法、陽解法といった直接時間積分法を実装していることが多い。解法の選択はユーザーに任されていることがほとんどだが、それぞれの手法の本質を理解せずに解法を選択すると間違った答えが得られてしまったり、そもそも答えが得られないといった問題に陥ることも多い。
 本講演では、陰解法・陽解法の本質を理解するため簡単な例題を交えながら理論を数式でトレースする。そして、本質を理解した上で、いくつかの実例に対してどちらの解法を選択するべきかの指針を紹介する。

4-3 力学メカニズムの本質を見る力
(構造力学)
〔永井亨(エムエスシーソフトウェア)〕

構造力学は,構造物を幾何学的な特徴(長い,薄い)と作用する外力の特徴(引張・圧縮,曲げ,せん断,ねじり)によってモデル化することによって,構造物の各部分に生じる変形や応力を解析する学問です.
 本講義では,3次元構造物の有限要素解析と組み合わせて活用することを念頭に置いて,構造力学のエッセンスを学びます.

4-4 課題解決の本質を見る力
(分科会報告)
〔井上友景(メカニカルデザイン),杉山裕文(山梨大学)〕

CAE活用の目的として「設計支援」や「課題解決」が挙げられる。しかし、複雑な形状や境界条件を忠実に再現したからといって、解析により所望の結果が得られるとは限らない。課題解決には、物理現象や関連する学問分野の理解、実験の経験知識、解析技術の理解など幅広い視点が重要となる。
 当協会の下部組織である解析モデリング分科会では、力学と解析手法の視点から技術的な課題の抽出と切り分けを行うことによって、見通しの良い知見に導くことを目指し活動を続けている。分科会活動の中で、参加者が自ら手を動かし結果について議論する作業部会の場を設けている。作業部会では、実験結果の整理から材料パラメータ同定や同定結果を用いた構造解析、理論解のあるベンチマーク問題の解析を行ってきた。本講義では分科会の活動を紹介しながら、本質を突いた見通しの良い知見を得るために必要となるモデリングや数値シミュレーションの取り組み方について解説する。