非線形CAE勉強会
第39期非線形CAE勉強会・シラバス
「非線形CAEこの20年の振り返りと展望」
第2日目(2021/12/ 4, 9:30〜16:40)
2-1 | 連続体の力学 ※途中休憩時間を含む 〔京谷孝史(東北大学)〕 |
- Cauchy応力テンソルとつり合い式
- 変形勾配テンソル
- 有限ひずみテンソルと微小ひずみテンソル
- 構成則の役割(微小ひずみ理論を例に)
- 仮想仕事式
- 種々の応力テンソル
- および上記に関連した数学の基礎
※上記の内容を,3日間に分けて講義します
2-2 | 複合材料とCAEの過去・現在・未来 〔平山紀夫(日本大学)〕 |
繊維強化プラスチック(FRP)に代表される高分子系の複合材料は,工業材料として使用され始めてから80年以上の歴史を有している.1940年代にガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂によるガラス繊維強化プラスチック(GFRP)が量産化され,その後1990年には炭素繊維にエポキシ樹脂を組み合わせたプリプレグ(シート状CFRP)がボーイング社の航空機本体の一次構造材に採用され,現在では航空機の機体重量の50%以上にCFRPが採用されている.これらの複合材料は,高い強度を持つ強化用の繊維と軽量で耐食性に優れたプラスチックを組み合わせることで,単一の素材では実現できない比強度を実現している.しかしながら,その一方,複合材料の強度設計においては,強化材,母材,材料界面といった複数の破壊状態が混在して強度の異方性が現れるため,破壊強度の予測が非常に難しい.さらに,最近の研究では,強化材や母材にひずみ速度依存性があることが明らかとなり,複合材料の強度設計をより複雑にしている.そのため,複合材料の性能を十分に引き出すための製品設計・開発にはCAEの活用が不可欠である.近年では,複合材料のためのCAEツールの普及・発展が著しく,30年前の設計・開発環境とは大きく異なる.
本講演では,複合材料の黎明期から現在までにおける材料技術の進化と対比しながら複合材料のためのCAE技術の普及・発展について解説する.そして,今後の複合材料の用途展開とそのために必要となるCAEツールについても著者の考え方を述べる.
- 複合材料の過去から未来
- 1.1 黎明期のFRPとその設計手順
- 1.2 強化繊維材料の開発〜ガラス繊維から炭素繊維〜
- 1.3 母材樹脂の開発〜熱硬化性樹脂から熱可塑性樹脂〜
- 1.4 これからのマトリックス樹脂
- 古典的な解析理論からマルチスケール解析まで
- 2.1 剛性設計のための理論〜複合則と積層理論〜
- 2.2 強度設計のための理論〜破損則〜
- 2.3 数値材料試験による材料非線形特性の同定
- 2.4 マルチスケール解析による強度評価
- 複合材料のためのCAEツールの過去から未来
- 3.1 汎用ソフトによる複合材料のFEM解析
- 3.2 複合材料専用のプリポストの現状
- 3.3 今後の複合材料用のCAE
2-3 | 機械学習による亀裂進展予測代替モデル構築〜複数亀裂の相互作用を考慮した予測〜 〔和田義孝(近畿大学)〕 |
機械学習の工学問題への適用が積極的に進められている。一方で、どのように適用すべきか、どの程度の物理現象を表現できるかは、経験則に従った判断が多い。工学問題への適用は手法の如何に関わらず内包される現象や利用できるデータの量、質が予測結果に大きく影響する。本講義では、以下の内容について説明する。
- 物理モデルの代替モデル構築の考えを示す
- データの質と学習に有効なデータ拡張手法について解説する
- 具体事例として、いくつかの工学問題への適用を示し、複数亀裂の相互作用を伴う亀裂進展予測を紹介する
- 2次元と3次元の亀裂進展に関して転移学習の検討結果についても紹介する
2-4 | CAE最適化の20年 商用ソフトウェアから見た、4半世紀の進展と課題 〔宮田悟志(ダッソー・システムズ)〕 |
- Prologue /今日的な最適化ソフトウェアの登場前夜とCAE最適化の動機・課題
- Since 1994 /iSIGHT初版からのパワーユーザのモチベーション
- Since 2001 /ヒューリスティックアルゴリズムと多目的最適化の台頭
- Since 2001 /トポロジー最適化の台頭と形状最適化の再評価・発展
- Since 2001 /品質・信頼性・ロバスト概念の普及と展開
- Since 2001 /サロゲート(近似)モデルの発展
- Since 2001 /設計システム構築と設計者CAE
- Since 2010 /数理計画法の逆襲
- Epilogue /進化・深化・発展・停滞・課題