非線形CAE勉強会
第40期非線形CAE勉強会・シラバス
「理解にもとづく非線形CAEの活用 〜解ける問題・解けない問題〜」
第1日目(2022/5/21, 9:30〜17:00)
1-1 | 連続体の力学 ※途中休憩時間を含む 〔京谷孝史(東北大学)〕 |
- Cauchy応力テンソルとつり合い式
- 変形勾配テンソル
- 有限ひずみテンソルと微小ひずみテンソル
- 構成則の役割(微小ひずみ理論を例に)
- 仮想仕事式
- 種々の応力テンソル
- および上記に関連した数学の基礎
※上記の内容を,4日間に分けて講義します
1-2 | 挨拶 〔寺田賢二郎(東北大学)〕 |
1-3 | 塑性変形における寸法効果とひずみの局所化 〔黒田充紀(山形大学)〕 |
塑性変形解析手法の主流は1970年代にはすべり線場法等の "analytical methods" から有限要素法に置き換わりつつあった.その後しばらくはコンピュータ性能の向上と共に有限要素法は目覚ましい発展を遂げ広く普及したが、次の2つの根本的矛盾に直面した. (1)実験では明らかに寸法効果(一般に "Smaller is stronger.")が見られるのに解析では一切実寸法が考慮できない. (2)軟化材を仮定すると一般にひずみの局在化が予測されるが、同時に解の唯一性が消失する. これらを同時に解決する理論としてひずみ勾配塑性理論が提案・整備されてきた.本発表では、ひずみ勾配項が理論に必要な理由、理論構成の基礎、解析方法等を応用例を交えて、以下の流れで解説する.
- 基礎
- 1-1. なぜ,ひずみ勾配が塑性問題に関与するのか
- 1-2. ひずみ勾配塑性論
- 1-3. どのように解くのか 〜有限要素定式化〜
- 応用
- 2-1. ひずみの局所化を表現可能な現象論的塑性構成式
- 2-2. 幾何学的必要転位密度を考慮した高次勾配結晶塑性理論
- まとめと展望
1-4 | 高速気流と柔軟構造体の連成解析 〔高橋裕介(北海道大学)〕 |
航空機や宇宙機が高速で飛翔する際に機体近傍には様々な連成問題が現れます。例えば、様々な速度域における流体と構造、遷音速流れと機体運動、極超音速流と電磁波伝播などが挙げられます。これら多様な連成挙動を理解していく上で数値解析手法は強力なツールになります。数値解析における連成手法は、マルチフィジクスソルバーによる統一解法や、複数のシングルフィジクスソルバー間の物理量通信による分離解法など多様であり、今も精力的に研究が進められている課題です。ここではオープンソースソフトウェアによる分離解法ベースの連成手法について紹介します。とくに高速気流における薄翼や柔軟な構造物を対象とし、その流体構造連成モデリングや解析事例について取り上げます。
- はじめに
- 流体解析と構造解析における数値解析モデル
- 分離解法における連成解析モデル
- 解析事例
- 薄翼の大変形リミットサイクル振動
- 高速気流・柔軟構造体の連成挙動
- まとめ
1-5 | 不連続変形解析の特徴とメリット・デメリット 〔車谷麻緒(茨城大学)〕 |
固体・構造解析に最も用いられている有限要素法は,連続体を解析するための方法であり,クラックが発生・進展するような不連続変形の解析には向いていない.これまでに,不連続変形を解析する方法として,様々な方法が提案されているが,万能といえるような方法は確立されていない.本講義では,不連続変形を解析するための代表的な方法について解説するとともに,講師のこれまでの経験をもとに,それらの方法のメリットとデメリットについても説明する.
- 不連続変形解析のイントロダクション
- 不連続変形を考える際の3つの要件
- 有限要素法を利用した解析方法
- 有限要素法を拡張した解析方法
- 有限要素法を用いない解析方法
- 講師の研究事例