非線形CAE勉強会
第43期非線形CAE勉強会・シラバス
「CAEにおけるDX」
第4日目(2023/12/17(日) 9:30〜16:40)
4-1 | デジタルツインとCAE 〔永井亨(エムエスシーソフトウェア/HEXAGON)〕 |
HEXAGONは,世界最大級の計測機器メーカーであり,計測機器のほか,三次元測定データやCTスキャンデータを利活用するための様々なソフトウェアも取り扱っている.
2017年には,最も歴史あるCAEソフトウェアベンダーの一つであるエムエスシーソフトウェアをグループに加え,計測が対象とする現実世界とCAEが対象とする仮想世界を融合することによるデジタルツイン技術の開発に取り組んでいる.
本講演では,CAEと,三次元測定,CTスキャン、XR(クロスリアリティ)を組み合わせた技術について紹介する.
- 三次元測定とCAE
- CTスキャンとCAE
- XRとCAE
4-2 | データ駆動型手法による短期降雨予測 〔宮本崇(山梨大学)〕 |
データ科学は,観測・理論・計算に続く第4の科学パラダイムとも言われる汎用的な技術体系を築きつつつあり,その応用も科学一般に広がっています.この講義では,非線形な動的現象の数理的性質を観測データから解析・予測する手法の1つである,クープマン作用素解析の方法論を説明し,データ駆動型の降雨予測モデルへと応用した事例を紹介します.
- 線形時間発展測を有する現象のデータ駆動解析:動的モード分解
- 非線形時間発展測への動的モード分解の拡張:クープマン作用素解析
- クープマン作用素解析の数値実験
- クープマン作用素解析の短期降雨予測への応用
4-3 | 衝突安全評価におけるDX ―人体有限要素モデルTHUMS*の開発―(*THUMS: Total Human Model for Safety) 〔岩本正実(豊田中央研究所)〕 |
車両の衝突安全性評価が、ダミーを用いた衝突実験からバーチャル衝突実験に変革する兆しが見えつつある。人体の有限要素モデルTHUMSの開発の経緯を紹介しながら、人体モデルを用いたバーチャル衝突実験と、将来的に期待される実事故再現への取り組みについて説明する。
- 衝突安全評価のDXの必要性
- 人体のDX
- 2.1 バーチャル人体モデルの開発
- 2.2 デジタルツインによるモデルの検証
- 2.3 バーチャル衝突実験による安全性評価
- 実事故再現DXへの取り組み
4-4 | シミュレーションという思想の変遷とDX 〔小林卓哉(メカニカルデザイン)〕 |
シミュレーションという技術は,大規模な複雑系の中から難しすぎもしない簡単すぎもしない中庸なシステムを取り出し,その一部をより簡単なシステムで代替させることによって物事の本質を見きわめる試みである.今日,このような試みが計算機上で手軽に実感できるようになると,理論,実験,生産といった領域を分ける壁が低くなり,われわれの経済行為はひろくシミュレーションの一種であるという認識が広がってきた.経済行為は数の問題であるので,シミュレーションという新しい考え方の方向性が,データすなわち「量」によって変化することがあり得る.設計,いわば質の問題を,量の問題といかに折り合いをつけるか?DXという新しい思潮について考えてみたい.