非線形CAE勉強会

第2期非線形CAE勉強会・シラバス・第1回

 

第1回:非線形CAEと力学 [ 9月28日(土) ]

非線形とは何か 「非線形とは何か−非線形問題とCAEソフト−」
担当:寺田賢二郎@東北大

第1日目のテーマ「非線形CAEと力学」のイントロダクションとして、力学の構成要素を示し、それらが非線形CAEソフトウェアのなかでどのような位置づけにあるかを講義する。特に、各構成要素間の関係における典型的な非線形性について、簡単な例題を用いて示し、非線形CAEにおける力学の役割を確認する。具体的項目は以下の通り:

  1. 非線形CAEにおける力学
  2. 非線形CAEソフトの構成
  3. 物理モデル
  4. 物理法則(保存則)と物理モデル
  5. 力学の構成要素
  6. 構成モデル
  7. 初期値・境界値問題
講義2 「自動車のCAE」
担当:西垣,中川@豊田中研
  1. 非線形動的応答解析

    “自動車のCAE”の分野は、構造解析、振動解析、熱伝導解析、流体解析、樹脂流れ解析、磁場解析など多岐にわたるが、ここでは幾何学的にも材料特性的にも顕著に非線形性を有する衝撃問題を対象として説明する。特に、簡単な例題を詳細に説明することにより、モデル化方法や入力データ構造の理解を深める事を目的とする。

    • 1-1 フードへの半球衝撃の例題解析の紹介
    • 1-2 上記を簡略化した例題の紹介とその詳細説明
    • 1-3 その他、補足説明
  2. 振動問題における非線形性

    自動車の振動問題は線形解析が主体だが,局部的な僅かな非線形性が全体の振動に影響を及ぼす場合がある.ここでは,そのような場合の問題の扱い方や現象について示す.

    • 2-1 非線形振動の一般的な考え方
    • 2-2 自動車部品の非線形振動解析の例
    • 2-3 モード縮退とその結合について
    • 2-4 車体構造に関わる非線形性の影響
実演と解説2 「タイヤのCAE」
担当:平郡@ブリヂストン

非線形CAEの具体的適用例としてタイヤのCAEを紹介する。タイヤを解析する際には、

  1. 大変形・大回転に伴う幾何学的非線形性
  2. ゴムなどに起因する材料非線形性
  3. 接触による境界非線形性

の3大非線形性を全て考慮する必要がある。本実演では、始めにタイヤ解析の基本的な手順を示した後、特徴的な解析手法を紹介する。また、例題として簡単な解析例とその解説を講義する。具体的な項目は以下の通りである。

    • ・タイヤの構造
    • ・代表的なタイヤモデル
    • ・基本的な解析
    • ・定常回転接触解析
    • ・ハイプレ解析(構造・流体連成解析)
    • ・単純化した問題の解析例とその解説
実演と解説3 「ゴムのCAE」
担当:永田孝弘@Mech.Des.&Anal.

金属のような結晶構造の弾性と異なり、ゴムに代表される高分子材料は、複雑に入り組んだ長い分子鎖の伸びによって、数100%に達する大きな弾性ひずみを許容する。このひずみは非線形な特性を持つため、通常、エネルギー関数によって弾性が記述される。また同時に変形によって体積が変化しない(非圧縮)性質を持つため、シール材のように自由表面が限られた閉塞に近い状況で使用すると高い剛性を発揮できるなど、広範囲にわたる工業上の付加価値が提供される。しかしながら、ゴム材料は大変形や接触の条件下で使用されることが大半であるため、近年の FEMプログラムの発展なくしては、実用的な解析はほとんど期待できなかったのが実情であった。ここでは、特に材料定数の同定に関わる課題と対策から始め、汎用 FEMによる事例について解説する。

  1. 荷重方向の重ね合わせと線形材料定数
  2. エネルギ関数の考え方
  3. ゴムの多軸試験の必要性
  4. 多軸試験の実際とFEMへの適用